PLCで天井(E26口金)から有線LANを出す

PLC=電気線にネットワークを通す技術

PLCをご存知だろうか?

簡単に言うと、家庭内に配線されている電力線を使って、LANを構築するための規格である。

Ethernetが100Mbpsくらいの時代に登場し一時期は注目を集めたが、無線LANの高速化やEhterが1Gbpsと高速化された結果、あまり話題にならなくなった技術である。

現行品だと、TP-LinkのPLCアダプタが割と出回ってる感じ。

天井からPLCを出してみようと思いついた経緯

ちょっと頭がおかしい自覚がある筆者ではあるが、流石に最初からPLCで天井からLANを出してみようと思ったわけではない。

筆者の家の玄関まわりが若干暗いため、ライトを増設したかったのだが、ちょうどいい場所にコンセントがなく、一番近くにある天井の電球ソケット(E26口金)からコンセント出せないかなぁと考えたことが始まりである。

で、ちょっとググるとPanasonicからそんな製品が出ていることを知る。
調査に当たり国民ソケットなるものもあることを知りロマンを感じた。

E26口金から100Vのコンセントを2つ分岐させて、電球も接続できるマーベラスな奴である。


天井からコンセントを生やした結果がこれである。

さらに、延長コンセントを噛まして、クリップ型ライトに接続した結果が以下。

クリップ型ライトの口金がE17だったので、E26に変換するソケットをかました上で、E26型の人感センサーライトを使用している。

ちなみに、クリップを止める丁度いい場所がなかったので、石膏ボードにピンだけで付けられる棚も併せて設置している。
ライトはどちらも人感センサーライトのため、電源は24時間ONの状態である。

LEDライトは消費電力も少ないので、変換アダプタを噛ましても熱の心配がない。
Panasonicの2又ソケットは、製品仕様上600wまでは大丈夫らしい。

コンセントあるところPLCを生やさずにはいられない

コンセントがあるということは、PLCが使えるということである。

使えるのであれば使ってみなければ気がすまない。

ということで、PLCアダプタを接続してどの程度速度が出るか計測してみた。

対向のPLCアダプタを接続して、天井のソケットにもPLCを接続してみた。
対向のアダプタを検知して、リンクアップもしている。

PLCアダプタとノートPCを接続。
正常にリンクアップし、インターネット側にも接続できてスピードテストも実行できた。

天井PLCの速度を計測

PLCの速度については、アダプタをどのコンセントに刺すかによって大きく変わってくる。

一番良いのは同じ系統の壁から出てるコンセントに直接出す事、一番ダメなのが、OAタップなどを噛まして他の機器のノイズの影響を受ける指し方である。

ということで、対向のアダプタの接続条件を変えながら速度を計測してみる事にする。

弊宅のネットワークは、有線LANは1Gbps、インターネットには100Mbps以上で繋がる回線なので、PLCのインターフェースが100Mbpsであり、構成上のボトルネックはPLCとなることから、本文ではスピードテストの結果=PLCの通信速度として扱う。

また、LAN内の速度の参考として、以下のコマンドで100MBをSSHを経由して送りつけた場合の通信速度も掲載する。

sshのオーバーヘッドはあるが、AES-NIが効くはずなのであまり影響はない…と思う。

dd if=/dev/zero count=100 bs=1M | ssh -c aes256-ctr XXX@XXX.XXX.XXX.XXX "cat > /dev/null"

一番よい接続での測定結果

それでは早速、一番良いコンディションの結果を見ていこう。

54Mbps程度出ており、なかなか良好な結果となった。


LAN内の測定も5.4MB/s→約43Mbps程度出ている。

104857600 bytes (105 MB, 100 MiB) copied, 19.4724 s, 5.4 MB/s


そこそこな条件での測定結果

次に、別の部屋のコンセントに直接接続した場合の結果である。

LAN内の測定結果は2.4MB/s→19Mbps程度。
104857600 bytes (105 MB, 100 MiB) copied, 42.9014 s, 2.4 MB/s

 延長ケーブルをかました1番だめな測定結果

最後に、別の部屋のコンセントに延長ケーブル(というかACアダプタを接続しやすいよう4つ足に分岐するケーブル)を噛ましてPLCアダプタを接続した結果である。



ご覧の通り5Mbps以下に落ち込んでいる。

LAN内の計測も558kB/s→約4.4Mbpsとなっている。

104857600 bytes (105 MB, 100 MiB) copied, 188.004 s, 558 kB/s


結論:PLCで天井から有線LANケーブルは生やせる

上記の測定結果のように、速度についてはPLCを接続するコンディションによるが、天井からPLCを使うことで有線LANケーブルを生やすことは可能だということがわかった。

youtubeの接続詳細情報を見てても、1080pの動画くらいなら問題なく見られる速度が出ている。

最悪なコンディションの4Mbps程度でも、ログを母艦サーバに送るのには十分なので、センサーとか荒いWEBカメラとかを設置するのには使えると思う。
スティックPCとかと組み合わせれば、省電力な伝説のトイレサーバも実現できるかもしれない。

また、個人的な体感として、無線LANよりはPLCのほうが有線だけあって接続がしっかりしていて、速度の増減やプチプチ切れることはないという印象である。

無線LANが安定しない場所で、ン十メートルのLANケーブルを引き回すことは難しいけど電球ソケットはある!といったケースでは意外と使えそうである。

そんなケースはないと思うけど(笑)

あとは中継機でもどうにもならない所に、PLCから無線LANを飛ばせるアダプタ買って、天井から無線LANを飛ばして改善するか試してみるか…だろうか?


皆様もぜひお試しあれ!

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