アーティストとしてのolivia(lufkin)再評価

オリビア再評価

Oliviaという人をご存じだろうか。

オリビアニュートンジョン…ではなく、日本でD&Dというユニットでアイドルとしてデビューしたオリビアさん(本名olivia lufkin、通称リビたん)である。

年齢がばれるが、筆者はこの人と同世代で、化粧品KATEのCMをリアルタイムで見ていた。
この美人のネーチャンがOliviaである。


リビたんは非常によい曲を作っているのだが、あんまり一般に受ける路線じゃなかった事もあり、何度かチャンスはあったもののブレイクに至らなかった不遇のアーティストである。洋楽ロックを嗜好する向きには結構受けると思うのだが、マーケティングおよび元アイドルのイメージもあり、その層の手にも中々届かなかったに違いない。

と言う訳で、リビたんがアーティスト活動を辞めて6年は経った今、リビたんを再評価したい。
といっても、そんなにリビたん自体に詳しくはないので、好きな曲を並べていくだけにはなるが。

リビたんと僕の出会い

リアルタイム当時はビジュアル系にどっぷりハマっていて「ケッ、アイドルなんて!」という割と硬派なスタンスを採っており、当時全盛だったモーニング娘。の類には一切手を付けてなかったのだが、何かオリビアはいいなと思ってファーストシングル「Dear Angel」を購入していた。

ただ、スタンスがビジュアルどっぷりで丁度BUCK-TICKさんに片足を突っ込み始めたところだったので、あんまり一生懸命聞いていなかった。

その後、洋楽にハマり、Linkin Parkとかのニューメタル、Queen、Buggles、Slayer、Slipknotなんかにのめり込み、すっかり洋楽かぶれになった後、ジャズやらなんやらいろいろ聞きあさってみる時期に入り、社会人2年目くらいに「そういえばオリビアっていたなぁ」とふと思い出し、「Dear Angel」を聴き直してみた訳だが…。

これが非常に良かった。

日本語詞の方ではなくオリビアが作詞した方の英語詞版の方にグッと来たのである。
日本語詞が典型的な恋愛ソングなのに対して、英語詞の方は孤独感と自分の可能性に対する挑戦を歌っている一種のプロテストソングになっている。(←英語力は低いので個人的な解釈です。)

で、改めて英語詞版のオリビアの初期シングルを聴いてみると、日本語詞の内容と全然違って、孤独感と自己の弱さとの対峙をテーマとしたメッセージ性の強い楽曲が多い事に気づく。

アイドル時代シングルの英語詞がクール

個人的に一番好きなのはDress Me Upなのだが、筆者、若かりし頃は知らないところでなんか勝手なイメージを抱かれることがあったので、この詞の内容は非常に共感できる。

周囲から見られる自分と自己認識との乖離、自分を披露したときの相手からのちょっとした失望。
オリビアのパブリックなイメージは「ハーフで美人で華奢でアイドル」だったけど、多分この人の本質は「立ち向かっていく」人で、そういう周囲の勝手なイメージや扱いに対する怒りや悲しみを表現しているのだと思う。

Dress Me Upは「勝手なイメージを付加する」意味で、サビの所は要約すると「もう十分着飾ってるのにこれ以上勝手なイメージ付加しないでよ。私の靴は気に入った?あれ、アタシの本質をちっとも見ないのに一体どこに行こうっていうの?」という感じだろうか。

また、Bメロで「私は小さいかもしれない、だけど天に届かないってことじゃない。確かに私は弱いけど、私をノックダウンしていい理由にはならない!」「私が躓いて転んでたとしても、堂々と立つ方法を知らない訳じゃない。彼女みたいなルックスじゃなくても私自身であることを誇りに思うわ!」といった他者から軽んじられることに対する怒りがストレートに表現されている。

デミ・ロバートのSky ScraperがDress Me Upと似たテーマなのだが、同じように天まで届くという表現があり、天に届くもの=凄いモンっていうのはやっぱ万国共通なんだな。


また、珍しく日本語で作詞した「できない」では日本語の内容としては若い子が言いがちな言い訳を並べながら、英語詞部分でもう一人の人格が「自分の可能性を信じれば何だってできる」と囁きかける。
日本語詞なんだけど、やっぱり英語圏の人が書く感じの内容なんだよなー。


曲として好きなのはInto The Stars
この曲はベースラインが素晴らしい。また、詞の方もありふれた恋愛ソングではなく、理想の愛に直面して未熟な自分の心が千々に乱れる様子を歌っている。英語得意じゃないけど、いいなーと思う詞なんですよ!「過去が私を形成しないようなとき、ただ愛されたい」とか素敵じゃないっすか。ただ「愛して!」じゃなくて「対等な相手になれるよう努力するから待っててね」っていう感じですよ!
多分PVは英語詞の世界観を元に作ってると思うんだよなー。
英語詞バージョンのPV


傑作The Lost Lolli

まぁ、リビたん正直セールス良くなかったのとどうやらメンタルの調子もよろしくなかったのか活動が縮小していくのですが、そんな苦しい時ほど傑作は生まれやすいもの。「誰かの苦しみが誰かの悦びに代わるのだ、やり遂げたまえ~」byオーケン
という事で、リビたんの傑作アルバム「The Lost Lolli」の爆誕です。
筆者、当時田舎暮らしで、この時期のミニアルバムは購入しておりません…。

とりあえず何も聞かずにAlone In Our Castleのライブ版を聴くがよい。


リビたんこの時期やばかったんだろうなぁという雰囲気がヒシヒシと伝わって来るが、楽曲の出来は最高なのである。
この辺から弟さん(ジェフリー君)と組んで楽曲制作をしていて、1曲ではEvanescenceのgoing underバリのラップソングを聞かせてくれるw
当時ヘヴィーロック全盛期だったのでその辺の影響は受けつつも、Alone In Our CastleとかSpace Haloといった静の曲とSpider SpinとかFake Flowerとかの動の曲が入り混じっていて面白いアルバムなのである。
代表曲 Spider Spin。2017年現在聴いても最高。


OLIVIA inspi' REIRA期

まぁ、リビたん案の定、休養期に入っちゃって暫く表舞台から消えてたのだが、2005年頃にあったNANAブームでアニメ内で流す曲を歌うことになり、久々にカムバック。
a little painとwishをOLIVIA inspi' REIRAとしてリリース。
両方ともいい曲で、リビたんのキャラとも合ってるので嫌いじゃない。


だがしかし、この時期はA Cloudy Dreamerという傑作ミニアルバムがリリースされてるんじゃ!
メンタルを病んでた時期の葛藤を元にしていると思われるが、理性と感情の乖離というか、脳と心の葛藤というか、精神と体の不一致に起因する対立を扱ったミニアルバム。
1曲目のIf You Only Knewは心と理性の調和がとれていた幼い頃を思い出してほしいという心からのメッセージで穏やかな楽曲。
実質ラストのcut me freeは不安定なピアノループに心から脳(理性)に私を解き放ってという歌が乗る静謐な1曲。

思うにリビたん、この辺りでメンタルも安定し、どす黒い方面の創作意欲は解消されたようだ。

音楽面ではこの辺から帰国子女洋楽バンド fade との絡みが出てくる。

最終アルバムTrinka Trinka(2017年現在)

どす黒い方面の創作意欲は解消され、発表されたのがミニアルバム「Trinka Trinka」。Trika Trinkaはリビたんの造語で、ピチャピチャとかキラキラみたいな感じで心弾む様を擬音化したものとの事。
歌詞にある「心臓は安定して鳴ってるけど叫びたい気分!」みたいな感じで全体的にハッピーな内容となっている。
このアルバムだとTrinka TrinkaとBecauseとYour Smileが好きな曲。


このアルバムの後、ルナシーのINORANさんとコラボしてSailing Freeっていうシングル出してるけど、個人的にはあんまり響かなかった。

今後への期待

リビたんは2010年代に入って結婚して子供もできて幸せな生活を送っているようである。
この人の音楽活動における創作の原動力って何かしらに「立ち向かっていく」感情だと思うので、幸せなうちは音楽活動の再開はないだろうなぁ。
だが、幸せになったリビたんの曲も聞いてみたいぞ。
是非活動再開してほしい。

傑作The Lost Lolli。メディアが残念なことにCCCDというクソ媒体なのでダウンロードがおすすめ。

コメント

  1. はじめまして。オリビア大好きで今でも良く聞いてます
    好きな曲はやっぱりDRESS ME UPとRAINです
    記事にもある通りで1人の人の成長、葛藤の精神世界があの声に乗ってくる感覚がとても好きでした。
    特に中期の電子音バリバリのころの。
    ひたすら幸せになったらまた歌いたくなってくれるかも?
    管理人さん、OLIVIAさん頑張って下さい

    返信削除
  2. コメントありがとうございます!
    頑張ります!(笑)

    そうなんですよ、打ち込みの要素が多い時期が最高なんですよ!
    オリビアいい曲いっぱいあるので埋もれさせるのは惜しいですよねぇ。

    返信削除

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